1ヶ月近く前の話になってしまうのですが、2019年3月下旬にとても残念なニュースを耳にする事になりました。
俳優であり歌手のショーケンこと、萩原健一さんがお亡くなりになられたとのことでした。
ニュースを耳にした際は、耳を疑いました。
とても残念でなりません。
全盛期の萩原さんは私が生まれる前のことなので、知らないことも数多くあります。
私の記憶に刻まれている萩原さんは、1990年台ころからの萩原さんになります。
実は萩原さんが私の記憶にキョーレツに刻まれるキッカケになったドラマがあるんです!
太陽にほえろ! 傷だらけの天使ではなくて、冒頭のアイキャッチ画像の【とうふ】と深い関係のあるドラマなんですが。
豆腐屋直次郎の裏の顔
数多くの映画やドラマで主演を務められてきた萩原さん作品の中では地味なドラマなのかもしれません。
リアルタイムで放送されていた際も、それ程話題になったドラマでもありませんでしたし。
内容をザックリ紹介すると、本業豆腐屋時々強盗!?
なんともシュールな世界観のドラマで、ストーリーも然ることながら、アドリブと思われる遣り取りがキョーレツに面白いドラマでした!
時代背景はバブル経済が弾け、湾岸戦争の真っ最中になり、日本では【101回目のプロポーズ】が国民的ドラマになっていた時期になります。
キョーレツに記憶に焼き付いているのが、萩原さんが演じる豆腐屋の主人直次郎が、夜強盗に出掛けようとした際に、奥さん役の 渡辺えり子さん(現:渡辺えり)がダーリンまたどっか出掛けるの!?
直次郎:仕方ないだろ。
直次郎:町内会の王将戦なんだから!(町内会の将棋大会らしい)
奥さん:私も付いて行く。(しょっちゅう夜出掛ける直次郎に浮気の心配をしている。実は強盗に)
直次郎:だってほら、おまえの好きな【東京湾岸戦争24,000回のキッス】今日最終回だろ!?
奥さん:あぁ、あの戦争するかキスするかってドラマ!?
こういったドラマ中の些細な遣り取りも時代背景や世論をパロディにするような面白い遣り取りが多数見受けられたドラマなんです!
ちなみに【東京湾岸戦争24,000回のキッス】の元ネタと思われるのは、前年に大ヒットしたドラマ【101回目のプロポーズ】だと思われます。
この回の終了間際に、【東京湾岸戦争24,000回のキッス】の結末もしっかり紹介されました。
直次郎が町内会へ行ったのかを疑っていた奥さんは、将棋戦の会場になっていた町内の雀荘に探りの電話を入れて直次郎を出すように要求!
ところが直次郎は強盗中の為、電話に出ることなんて出来ません!
この状況に奥さん血相を変えて雀荘へ駆けつける事に!?
雀荘に乗り込んではみたものの、既に強盗を終えた直次郎が涼しい顔をして将棋を指しています。
奥さん将棋を指している直次郎を確認して安堵な表情に!
直次郎:どうだった? 【東京湾岸戦争24,000回のキッス】今日最終回だろ!?
奥さん:戦争になっちゃった!!
奥さん:だって浅野温子がキスしないんだもん!!
商店街の皆さん一同:あーぁ!
こういったアドリブと思われる言い回しが随所に織り込まれているドラマで毎週楽しみにしていたことを記憶しています!
【豆腐屋直次郎の裏の顔】を見たことの無い方には、なんのこっちゃ!?
と思われるかもしれませんね。
萩原さんと渡辺えりの夫婦の遣り取りがとにかく楽しくて、更に直次郎の弟分のツネ(佐藤B作)とおでん屋のオカマおやぢ(梅津栄)との遣り取りもこんな感じで弾けっぱなし!
町内会の面々もマサ(粟津號)をはじめ個性派の俳優さんばかりで記憶に強く刻まれたドラマなんです!
そんなこともあり隅田川周辺を通る度に、ドラマのことを思い出すことも多々ありました。
【豆腐屋直次郎の裏の顔】は隅田川周辺を描いたドラマなんです!
それ以来、萩原さんの出演されるドラマは観るようにしていました。
ちなみに【豆腐屋直次郎の裏の顔】のブルーレイやオンデマンド放送は、今のところ無い様子です。
【豆腐屋直次郎の裏の顔】のエンディングシーンは、築地市場でもお馴染みの勝鬨橋を直次郎が豆腐売りの自転車で走る後ろ姿が印象的で忘れられません。
【豆腐屋直次郎の裏の顔】のエンディング曲が収録されているアルバムをヤフオクで購入したことも今となっては懐かしい思い出です。
日本映画史に残る名作!
萩原さんの映画で最も記憶に刻まれているのは【八つ墓村】(1977年)です!
こちらはDVDで観た作品なのですが、主演の萩原さん以外の脇を堅めるキャスト陣も超豪華!
寅さんの渥美清をはじめ、【小川真由美・山本陽子・市原悦子・大滝秀治・夏八木勲・田中邦衛・他】とそうそうたる顔ぶれ!
極めつけが衝撃的な暴挙を演じる山崎努の好演には度肝を抜かれました!
70年台の古い作品ですので、古臭さも感じられるのですが、その世界観が尼子一族に繋がる怨念を描いており日本的な根深いミステリーなので強い衝撃を受けた作品です。
余り日本映画は意識して観ることはないのですが、【八つ墓村】(1977年)は日本的ミステリーの傑作映画として好きな映画の一つです。
小栗旬主演【TAJOMARU】の撮影シーンのワンシーンで、萩原さんがセリフを巡って監督に、このセリフは若い(適切ではない)と独特の言い回しで変更するように求めていた萩原さんを見て衝撃を受けました。
作品の細部まで拘る萩原さんの感性の鋭さを見た際に、多数の作品で人を魅了されてきた萩原さんの本質を垣間見たように感じました。
ドラマや映画で数々の好演を魅せて下さった萩原さん。
もう観ることが出来ないと思うと残念でなりません。
ご冥福をお祈り致します。
まとめ
平成から令和に遷り変るタイミングなだけに、感慨深いものを感じます。
私生活では色々とあったようですが、萩原さんは私の記憶に鮮明に刻まれている俳優さんでした。
記憶に残る萩原さんが主演を務められた【豆腐屋直次郎の裏の顔】の世界観は、タワーマンションが建つ前の隅田川周辺が描かれているのも時代の流れを感じさせます。
今では【豆腐屋直次郎の裏の顔】を観ること自体、簡単ではないだけに時間の経過を痛感します。
余り後ろを振り返って懐かしむことは好きではないのですが、記憶に刻まれている俳優が亡くなるニュースを耳にすると、時の流れを感じずにはいられません。